極洗マグロとは
従来のマグロ船の場合、マグロを釣上げてから凍結までの処理は以下の図の手順で行われます。
1.漁獲
漁獲したマグロはまず甲板に移動させられます。この時、マグロが暴れると、甲板に体を激しく打ち付けシミになります。
2.神経抜き
脊髄の中枢神経を壊して身が硬くなるのを抑えます。
3.脱血処理
神経抜きを終え魚体が暴れなくなったら、尾や動脈を切り、脱血をします。血が抜けたらエラ、ヒレ、内臓を綺麗に取り除きます。
4.洗浄・脱血
下処理を終えたら、雑用海水を使い魚体を洗浄します。この時、血管内に海水を注ぎ込み血を出し切りますが、処理が不十分だと血栓ができます。
5.凍結
4の洗浄・脱血を終えたら、凍結室へ移して保管します。
しかし、その従来処理の過程上、どうしても水揚げ後のバタつきや、不完全な脱血処理によって、下記の写真のように「しみ」や「血栓」があらわれます。
またバタつきが長時間続くと、マグロの体温が上昇しすぎて、マグロの身が変色してしまう「身焼け」という現象がおきます。
そこで浜田漁業部では、高品質なマグロを提供するため、ナノバブル発生装置を用いた冷海水ナノバブル洗浄という技術を遠洋マグロ延縄船に世界初搭載し、「しみ」や「血栓」、「身焼け」を可能な限り廃した「極洗マグロ」を開発いたしました。
極洗マグロができるまで
1.脱血前処理
生きて漁獲されたマグロのエラ横の動脈と尾を切断し、血が抜けやすい状態にします。
2.脱血作業
生きた状態で脱血タンクに入れ、血抜きを行います。心臓が動いたままの状態でタンクに入れるので従来より血がしっかり抜けるのと、血抜き時間の短縮が見込まれます。また、ナノバブルを使用することで魚体に十分な空気を送り、生存時間を延ばすことで、より効率的な脱血が可能となります。
3.神経抜き
血抜きを終えたら脊髄の中枢神経を壊して、身が硬くなるのを抑えます。その後、エラ、ヒレ、内臓を綺麗に取り除きます。
4.冷海水ナノバブル洗浄
冷海水ナノバブル装置を使用することで脱血処理の仕上げを行うとともに、魚体の洗浄により衛生面の向上をはかります。同時にマグロの魚体温度の上昇を抑えます。
この技術により釣上げたマグロをすぐに船上加工することができ、これまでにない身の綺麗な、マグロ本来の味わいを感じていただけるマグロを提供することが可能となりました。
これまでなら「産地」がブランド化していたマグロですが、この新しい加工技術により、何処で漁獲しても最高の品質で市場にお届けすることができます。